●初めまして      2005/01/18
先日家の整理をしていた所、祖父(彫師)の絵(刺青の原画)が大量に出てきました。価値がわからず、色々調べた結果、彫師の方は原画を外に出さないのが一般的との事でした。
このまま家に置いておくのも宝の持ち腐れなので、売りたいのですが、売ってよいものなのでしょうか?
また、いくら位の価値のあるものなのでしょうか?
教えて頂ければ幸いです。
長々と失礼致しました。


----------------------
Re:     彫陳 2005/01/20
初めまして。
まず、「売ってもよいものか」とのことですが、あなたを含めた御遺族の方の判断に委ねられたら宜しいと思います。
そもそも、彫師が原画を外に出さない理由としては、
*彫師(又はその彫師を含む一門)自身の商売道具であり、第三者による贋作行為や他目的への商用利用を許さない事
*彫師(又はその彫師を含む一門)自身の象徴で、被術者が刺青における作風や技術力を判断する数少ない重要な鍵であり、第三者による贋作行為や他目的への商用利用によって、その要素が失われたり著しく損なわれる事
*彫師(又はその彫師を含む一門)側に於いても被術者側に於いても刺青自身の希少性や正当性を求めるものであり、第三者による贋作行為や他目的への商用利用によって、その要素が失われたり著しく損なわれる事
等が挙げられます。
家の中の、どこか整理しなくては解らないような場所にその原画群がひっそりとあったとすれば、その事実から推察出来るのは次の様なものではないでしょうか。
*まず第一に、その方の刺青技術・刺青様式を相伝するべき人間(例えば弟子)はいなかったということ。
この場合、継承に適する者が見あたらなかったか、意図して自らの代で封印したか、に分かれます。
前者であれば、「後世に何らかの形ででも、自らの創作物の片鱗を伝えたい」御遺志があったのかもしれません。
後者であれば、「意図的に原画を封印したい」御遺志があったのかもしれません。(前述の”彫師が原画を流出させない理由”等により)
又、刺青原画といっても、彫師により「相当な段階まで描き込み、刺青原画を絵画的に仕上げる彫師」もいれば、「刺青原画はあくまでも実際に彫る刺青のイメージの種であり、そこから膨らませていく為に意図して簡易に描いておく彫師」もいます。
刺青原画の絵画的価値を云えば、前者が勝るでしょう。
古き時代の刺青文化を垣間見ることが出来る点では後者の方が価値があるのかもしれません。
「いくら位の価値か」とのことですが、以下の様に考えます。
何の為にその一枚が存在し、如何なる方向性を意図しているのか。どの程度描き込まれ、絵画的価値がどの程度あるのか。何年前のもので、その時代の刺青文化の特徴を指し示す文化的価値があるのか。
一概に評価出来ないものばかりで、その価値は、それらを手にした者によって様々でしょう。
*「その時代の刺青文化の特徴を指し示す文化的価値」ということで云えば、御祖父様のものということで、それほど昔のものではないと推察し、「古い」ということでの付加価値はそれほど無いのではないでしょうか。
*「刺青の原画」=「何らかの付加価値」というものではありません。
例えば現行の彫師の場合を考えても、「ある程度額を積んでもこの彫師の刺青原画が欲しい」と云われる彫師もいれば、「無料でもいらない」と云われる彫師もいるでしょう。見る者の判断なのです。
これらの要素を踏まえた上で、あなたを含めた御遺族の方の判断に委ねられたら宜しいかと思います。
長々と失礼致しました。


----------------------
丁寧な御返事ありがとうございます      2005/01/21
丁寧なご説明ありがとうございます。
家族で話し合った結果、既に彫ってしまった原画については写真等が残っていますので(彫られた方の)大事に保管する事にします。
そもそも祖父は彫師の傍らで、絵画として作成した作品もいくつかあり、神社等に奉納していたようです。
これも家族で話し合った結果なのですが、一度、未発表の原画で展覧会を行い、
その結果、どうしても欲しいという方がいらっしゃれば、お譲りするという風にしたいと思います。
また、絵画として完成度が高い作品は、後世に残すべく、家宝にして、大事に守っていきたいと思います。
大変貴重な御意見ありがとうございました。





トップへ戻る